北ぶらくり丁会館のアイコン

北ぶらくり丁会館

歴史1

北ぶらくり丁中程を本町公園の方に曲がるとすぐ左手に北ぶらくり丁会館という3階建ての古い建物があります。かつて商店街の住宅事情を改善するためにアパートとして建てられたものです。
昔商店の多くは2階部分が住居となっており、狭い上に隣家と接しているため日当たりや通風に乏しく、家族が増えるにつけ近場で部屋を確保したいという希望が多くありました。ところが部屋を借りようにも付近には適当な物件は見当たりません。そこで商店街組合がすぐ側に3階建てのアパートを建設しました。

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6畳二間にキッチン付き、トイレは共同、風呂はなし。必要最低限の間取りですが、当時は多くの組合員に喜ばれて利用されていました。ところがその後生活様式の変化と共に多くは空き部屋となり、2000年には組合事務所と倉庫代わりの一部の部屋だけしか使われていない状態で、そもそも建物自体が傷んでおりもはや取り壊しを待つような状態でした。

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ちょうどその時、疲弊した地方都市の中心市街地を再興するために国の制度が出来て、和歌山市にもそのための組織=TMO(Town Management Organization)の役割を担うまちづくり会社=株式会社ぶらくりが誕生しました。その広報の一つとして地域の情報発信のフリーペーパー「Bravo」が創刊されることになり、編集室として北ぶらくり丁会館の一部屋を無償で提供することになりました。

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無償と言っても、そもそも空き部屋でもあり、他に使用する予定もなかったのでどうぞお使いくださいと言う感じでした。そこにはいろんな人が集まってきました。本職のデザイナー、デザイナーを目指す人、ライターを目指す人、Adobeの使い手、Macintoshのシステムやネットワークのスペシャリスト、営業職、学校の先生、会社員、自営業、学生など地域を面白くしたいというエネルギーに満ちた人々が集まり、放課後の部活のような雰囲気の中で編集作業は夜明けまで続くこともしばしばでした。

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ある日その中の若いデザイナーからこの北ぶらくり丁会館に部屋を借りたいと相談がありました。理事会に問うたところ、部屋は空いてるんだし格安でいいよと快諾。設備は不十分だけど部屋の模様替えは自由にしてくれて結構という条件。それを受けてそのデザイナーが和室のじゅらく壁を剥がし、天井を取っ払い、畳敷きの床をフローリングにして、出来上がったものは全く別の目の覚めるような新鮮な部屋になっていました。
まだ世間にはリノベーションという言葉が広まる前のことです。その部屋を見た別の人からも、じゃあ僕も一部屋借りたいという風に少しずつ流れが出来て行きました。

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入居者からいただいた家賃は建物の修繕費に充てて、柱を補強、壁を修繕、次は防水工事という具合に修繕は進み、時間はかかりましたがボロボロだった建物は次第に持ち直して、トイレはウォシュレットになり、流し台も置き、各部屋では無料でWi-Fiも使えるようになり、快適に使える場所として見直されるようになりました。

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部屋はそれぞれの借主が思い思いに手を加え、スコッチの飲める本格的なBARも開店するに至り、映画祭やアートイベントなども開催される等、かつてお荷物となっていた北ぶらくり丁会館はいつしか古い佇まいのまま新しい価値を生み出すようになっていました。
リノベーションの本質は新しい価値の創造にあるとすれば、いろんな偶然も作用してまさにその事例が生まれたことは幸運であったと思います。

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看板は江口真代さん作(EGUCHI MINORI)

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鈴木昭男さんが北ぶらくり丁会館2階廊下に発見したエコーポイント。そこにある「点 音」(Otodate)マーク足をそろえ、ゆっくり耳を澄ませてみましょう。そこにしかない自分だけの音や眺めを感じてみてください。

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2022年春、北ぶらくり丁会館の隣に中庭をはさんで北ブラBASEがオープンしました。 今後は両方を行き来してますます面白くなっていきそうです。なお、部屋の賃貸をご希望の方はお気軽にご相談ください。
広さによって異なりますが大きい部屋は30,000円〜/月、小さい部屋は15,000円/月〜からと格安でご利用いただけるプランがあります。(空き部屋がある場合)

ご利用をご検討の方